物語の起点となるのは、10年前に発生した前代未聞の銀行強盗事件です。地方の銀行から現金2000万円を奪い、霊柩車に乗って忽然と姿を消した鈴木一鉄(藤竜也)と妻の光子(長内美那子)。事件の真相も遺体の行方も分からぬまま10年の歳月が流れた真夏のある日、鈴木家の長男・小鉄(草彅剛)の呼びかけによって、散り散りになっていた4人のきょうだいが築年数の経った生家に集結します。
彼らが集まった真の目的は、両親の冥福を祈ることではなく、失踪宣告を出して死亡とみなされた両親の遺産(実家の土地・建物)を売却し、金を山分けすることでした。小鉄は妻の美代子(MEGUMI)と娘のユズキ(甲田まひる)を連れて現れますが、小鉄自身の懐事情は火の車であり、遺産を独り占めしようと企んでいます。
そこに、冷静沈着を装いながら鋭い観察眼で兄を警戒する次男の京介、動画配信者として一攫千金を狙い実家の内情をゲリラ生配信しようとする三男の千尋(中村倫也)、そして女性パートナーのユウコ(若狭ひろみ)を連れて自由奔放に生きる長女の麗奈(尾野真千子)が次々と合流。外では観測史上最大級の台風が刻一刻と接近する中、遺骨のない「仮想葬儀」を隠れ蓑にした、醜悪で滑稽な遺産分与の舌戦が幕を開けます。