現在の青木ヶ原樹海は、かつてのような「見捨てられた暗黒の森」ではありません。行政、警察、民間団体が一体となった強固な見守りネットワークが張り巡らされています。
青木ヶ原樹海のパトロールは現在、専門の相談員や地元防犯ボランティアの手によって毎日休むことなく実施されています。遊歩道を軽装で歩く不審な人物や、明らかに思い詰めた表情の来訪者に対しては、穏やかに声をかけて保護につなげる活動が日常的に行われています。主要な遊歩道の入り口には監視カメラや自殺防止の相談ダイヤルを掲示した看板が設置され、水際での保護件数は年々増加しています。
散策路から外れた場所にある富士の樹海の立ち入り禁止の本当の理由は、自殺防止だけではありません。青木ヶ原は富士山の噴火によって形成された溶岩地帯であり、足元には落ち葉に隠れた無数の縦穴(溶岩洞穴・クレバス)が存在します。一歩足を踏み外せば重傷を負う危険があること、また国の天然記念物として貴重な原生林の生態系を保護する必要があることから、厳しく規制されているのです。