さかなクンのサックスの腕前が一躍お茶の間に知れ渡った最大の契機は、2016年に放映されたキリン「氷結」のテレビCMでした。シックな黒のスーツとハットに身を包み、東京スカパラダイスオーケストラのフロントに立ってバリトンサックスを吹き鳴らす謎の男「GYOBO(ギョボ)」。その正体が明かされた瞬間、SNSや音楽界隈は驚嘆の声で溢れかえりました。
単なるタレントの余興や当て振りではなく、スカパラのメンバーと堂々と渡り合う鋭いアタックと力強いグルーヴは本物でした。スカパラのバリトンサックス奏者である谷中敦氏も、当時の取材やSNSで「音の太さとリズムの正確さに驚いた」「リハーサルの段階から完璧に吹きこなしていた」と絶賛のコメントを残しています。
現場関係者の証言によると、撮影現場でのさかなクンは一切の妥協を許さず、セッションの合間も熱心に運指やアンブシュア(口のフォーム)を確認していたといいます。魚に対する探究心と同じ純粋な熱量が、音楽の現場でも遺憾なく発揮されていました。