その極限の破綻形が、基本教義派末日聖徒イエス・キリスト教会の指導者ウォーレン・ジェフズによる恐怖支配だった。彼は自らを「予言者」と称し、信者たちの婚姻を意のままに差配した。従順な男には何人もの妻を「報奨」として与え、逆らう者の妻や子どもは没収して他人に再配分した。
壁で囲まれた閉鎖空間において、少女たちは十代前半で高齢の男性に嫁がされ、外部との接触を禁じられた。教育を奪われ、世界の常識から遮断された彼女たちにとって、逃げ出すという発想そのものが罪と刷り込まれていたのだ。ウォーレン・ジェフズは児童虐待や性的暴行の罪で終身刑に処されたが、洗脳と暴力が支配したコミュニティの傷跡は、数世代を経てもなお癒えていない。