この見えない脅威と排除の歪みは、近年の映像カルチャーにも色濃く影を落とす。藤井道人監督がメガホンをとった映画『ヤクザと家族 The Family』は、社会から完全に居場所を奪われた者たちの末路と、地下へ潜らざるを得ない構造的孤立を痛切に描き出した。同作はNetflixなどの配信プラットフォームでも国内外から高い評価を受け、暴排社会の光と影を浮き彫りにした。
また、WOWOWとハリウッドの共同制作で話題を呼んだ重厚なクライムサスペンス『TOKYO VICE』は、1990年代から現在に至る警察、記者、そして裏社会の複雑な力学をリアルな筆致で世界へ突きつけた。これらの作品が提示するのは、単なる善悪の二元論ではない。排除された闇が姿を変え、より凶悪で不透明な存在として社会の隙間に堆積していくという、私たちが引き受けねばならない重い問いかけである。