しかし、ネット上の称賛の裏側には、原状回復不能に陥った数々の失敗談が隠されています。SNSや知恵袋、賃貸住宅の退去トラブル事例を調査すると、浴室にサンポールを持ち込んだユーザーの多くが深刻な物的損害を被っている実態が浮かび上がってきます。
最も被害報告が多いのが、浴槽の変色と光沢の消失です。現代の住宅で主流となっているFRP(繊維強化プラスチック)浴槽は、表面が繊細な「ゲルコート層」という樹脂コーティングで保護されています。強酸性のサンポールが付着すると、この保護層の分子構造が化学的に破壊され、白く粉を吹いたような白ボケや、黄色や茶褐色の染みのような変色を引き起こします。一度変質したゲルコート層は洗剤やコンパウンドで擦っても元には戻らず、専門業者による全面再塗装やバスタブ交換が必要となり、15万〜30万円超の修復費用を請求されたという事例も報告されています。
さらに深刻なのが、蛇口やシャワー金具などステンレス・金属部品の激しいサビと酸焼けです。「蛇口のウロコ取りにサンポールを塗ってラップパックした」というユーザーの多くが、ラップを剥がした瞬間に金具が黒ずみ、斑点状のサビ(ピッチング腐食)に覆われていたという悪夢を経験しています。ステンレスは表面に極めて薄い不動態皮膜を形成することで防錆性を保っていますが、サンポールに含まれる高濃度の塩化物イオン(塩酸)はこの皮膜を不可逆的に破壊します。数十分の接触で金属内部まで腐食が浸食し、金具の交換を余儀なくされるケースが多発しているのです。