ここでメスを入れるべきは、「ネット上の可愛い顔文字はどの端末でも同じように見えている」という根強い誤解です。この認識不足が、思わぬコミュニケーション事故を誘発しています。
最大のリスクは、iPhone・Android対応顔文字におけるプラットフォーム間の字形レンダリング差異と、Unicode未対応グリフによる「豆腐現象(□や〓への置換)」です。特に特殊文字顔文字で多用されるチベット文字(例:༻、༺、༼)や、古いアラビア・インド系言語の合成記号は、iOS側で綺麗に表示されていても、Androidの特定バージョンやWindows PC環境では非対応フォントとして空白や黒塗りの四角形に化けてしまう事例が多発しています。自分の画面上でおしゃれに見えているメッセージが、受け手側では怪文書のような破綻を起こしているケースは珍しくありません。
また、ビジネスチャットにおけるTPOの境界線も極めてシビアです。「テキストの角を取るための配慮」として顔文字を挿入したつもりが、クライアントワークや社内公報では「業務上の緊張感を欠いている」「可読性を低下させている」とネガティブに判定されるケースが依然として一般的です。社内Slack等で許容されるのは、せいぜい(^^)やm(_ _)mといったクラシックな記号、あるいは組織公式のカスタム絵文字スタンプまでであり、トレンドの量産型や地雷系記号を持ち込むのは明らかなマナー違反と見なされるのが実情です。