今回の偉業において最も特筆すべきは、専用のスーパーコンピューターではなく、汎用的なクラウドコンピューティングの環境下で実行されたという事実だ。プロジェクトの土台となったのは、世界中の企業が日常的に利用しているGoogle Cloudである。
計算にはN2という標準的な仮想マシンインスタンスが投入され、128個のvCPUと864ギガバイトのメモリが休むことなく稼働し続けた。注目すべきは、100TBを超える永続ディスクのパフォーマンスだ。数百日におよぶ連続稼働の最中、ただ一度のディスク障害やネットワーク遅延によるデータ消失も許されない。クラウドの自動バックアップ機能と堅牢なインフラ基盤があったからこそ、岩尾氏らは世紀の計算を無事に完走させることができたのだ。