スターの鎧を脱ぎ捨て、泥臭い人間のドラマに没入させた立役者が是枝裕和監督だ。カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』において、福山は血の繋がりと育ての親の間で葛藤するエリート父親をリアルに体現。完璧主義な男が挫折を味わい、真の父親へと変貌していくプロセスの演技は、国内外から惜しみない賛辞を浴びた。
さらに両者が再びタッグを組んだ『三度目の殺人』では、ヴェネツィア国際映画祭をはじめ世界的な評価を獲得。弁護士として真実を探る中で自らの倫理観が揺らいでいく心理描写は、まさに真骨頂であった。一握りの娯楽作にとどまらず、深遠なヒューマンドラマの領域へと足を踏み入れたことで、彼は名実ともに日本を代表する演技派俳優へと脱皮を遂げた。