鴨川のほど近く、夕暮れとともに灯る赤提灯が目印の京都・赤垣屋。引き戸を開けると、使い込まれたコの字型カウンターと飴色の柱が広がり、まるで昭和の時代へタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
まず注文したいのが、大きな銅鍋でじっくりと煮込まれた名物のおでんです。関西風の上品な昆布と鰹の出汁を吸った大根や、出汁を含んでふっくらと仕上がった厚揚げ、自家製ひろうすは外せません。店主が燗銅壺(かんどうこ)で絶妙な温度に温めてくれる日本酒「名誉冠」のぬる燗と合わせれば、出汁の旨味が口いっぱいに広がります。
さらに、鮮度抜群の鯖を使った「きずし(しめ鯖)」や、しっとりとした火入れが美しい「鴨ロース」、季節の小鉢料理など、割烹顔負けの手仕事が施された品々が揃います。奇をてらわない実直な調理法だからこそ、素材本来の味が際立ちます。