昆虫写真図鑑や防除データでも報告されている通り、ヘリグロテントウノミハムシは甲虫目ハムシ科テントウノミハムシ属に分類される昆虫です。その外見には、自然界の狡猾な生存戦略が隠されています。
体長はおよそ3.5mm前後と非常に小さく、円盤状に丸みを帯びた黒い体色に、一対の鮮やかな赤色から橙色の斑紋を備えています。この姿は、カイガラムシを捕食する益虫として名高い「ヒメアカホシテントウ」やナミテントウの二紋型に酷似しています。テントウムシ類は外敵に襲われると苦味のある不快な黄色い体液を分泌するため、鳥などの捕食者はこれを避けます。ヘリグロテントウノミハムシはこの性質を利用し、毒を持たないにもかかわらず益虫テントウムシに姿を似せる「ベイツ型擬態」を行っていると考えられています。
しかし、決定的な違いが2点あります。第1に、テントウムシが歩行を中心に移動するのに対し、本種はノミのように太い後脚を持ち、危険を察知すると視界から消えるように数メートル跳躍して逃走する点です。第2に、肉食であるヒメアカホシテントウとは正反対に、モクセイ科植物の新葉を激しく食べ荒らす完全な草食性の農業・園芸害虫であるという点です。