彼の歩みを振り返るとき、その出発点となったトイズファクトリー時代の衝撃を無視することはできない。2009年の『PHILOSOPHY』、続く『IF I STAY OUT OF LIFE...』で見せた剥き出しの抒情詩と緻密なコードワークは、早熟な天才の登場としてシーンを震撼させた。圧倒的な歌唱力とピアノの打鍵音だけで聴き手をねじ伏せる圧倒的な純度。だが、彼自身はその称賛に微塵も安住しなかった。
キャリアを重ねるにつれ、ソニー・ミュージックエンタテインメントへの移籍や劇伴制作、他アーティストへの楽曲提供など、その活動領域は加速度的に拡大していく。シンガーソングライターという呼称を自ら解体するかのように、パンク、エレクトロ、ミュージカル、歌謡曲のエッセンスを貪欲に飲み込んできた。