制作の舞台裏にも興味深いエピソードがある。本作を手掛けた作詞家は、当初もっと劇的でドラマチックな言葉を用意していたという。しかし、現場を統括する敏腕の音楽プロデューサーと議論を重ねるなかで、「削ぎ落とす美学」へと舵を切った。日常の会話に転がっているありふれた言葉こそが、最大の強度を持つという判断だった。
呼応するように、作曲家が紡ぎ出したコード進行は洗練を極めている。哀愁を帯びたマイナーコードから、サビの瞬間にフワッと視界が開けるようなメジャー進行への転換。言葉の響きとメロディの跳躍が見事にシンクロし、一度聴いたら忘れられない中毒性を生み出している。