映像の世界で起きている異変は、出版業界においてすでに何年も前から警告されていた。ヴィヴィアン・ロウマーニ監督によるドキュメンタリー映画『Out of Print』は、グーテンベルクの活版印刷から始まった書物の歴史がデジタル化によっていかに根本的な変容を迫られているかを鋭く描き出した作品だ。
電子書籍の台頭は読書体験を劇的に変えたが、同時に「デジタル絶版」という新たな問題を生み出した。電子書店がサービスを終了すれば、購入したはずの本はライブラリから消滅する。さらに、中央サーバー側でテキストの内容が後からサイレント修正される事例まで発生している。ドキュメンタリー映画『Out of Print』が警鐘を鳴らした通り、物質的な実体を持たない情報は、権力やアルゴリズムのさじ加減ひとつで歴史から容易に改ざん・消去され得るのだ。