鑑賞の刺激を受けた後は、自らの手で土に触れる体験が待っている。笠間工芸の丘では、電動ろくろや手びねりを使った本格的な作陶ワークショップが開催されており、初心者でも熟練のインストラクターによる丁寧な手ほどきを受けながら自分だけの器を形作ることができる。
指先に力を込めると、冷たい粘土が滑らかに回転し、徐々に器の深みが生まれていく。土の抵抗感を直に指の腹で感じるこの時間は、デジタルな日常から完全に切り離されたマインドフルネスのひとときに近い。笠間焼の最大の特徴は「特徴がないこと」とよく言われる。京都や有田のように厳格な伝統様式に縛られず、江戸時代中期に興って以来、自由な発想と新しい技法を貪欲に受け入れてきた包容力がある。
センター内のクラフトギャラリーには、若手陶芸家たちの遊び心あふれるマグカップや日常使いのプレートがずらりと並ぶ。伝統的な黒褐色の「柿釉」を用いた重厚な器のすぐ隣に、パステルカラーのモダンな花器が並ぶ多様性こそが、今この街で息づく笠間焼のリアルな姿だ。