セックス依存症は、当事者本人のみならず、配偶者や交際相手など最も近しいパートナーの心身を深く傷つけます。秘密裏に行われる裏切り、度重なる嘘、性感染症への恐怖に直面したパートナーは、深刻な心理的トラウマを負うことになります。
この状態は臨床現場で「裏切りトラウマ(Betrayal Trauma)」と呼ばれ、フラッシュバック、不眠、過覚醒、自尊心の崩壊など、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と同等の苦痛をパートナーにもたらします。「自分の魅力が足りないからではないか」「自分がもっと気遣っていれば防げたのではないか」と自責の念に駆られてしまう人も少なくありません。
もし身近なパートナーが依存症の兆候を示している場合、周囲は以下のようなスタンスで向き合うことが大切です。
- 自分を責めない:パートナーの依存行為は本人の内面的な疾患に起因するものであり、あなたの魅力や愛情不足が原因ではありません。
- 共依存(イネーブリング)を断つ:本人の借金を肩代わりしたり、嘘の後始末を代わりに引き受けたりすることは、結果的に本人が底つき感を味わう機会を奪い、病気を長引かせます。
- 明確な境界線(バウンダリー)を設定する:「これ以上の隠し事は受け入れない」「治療機関を受診しない限り同居は継続できない」など、自分自身の尊厳と安全を守るためのルールを毅然と伝えます。
- パートナー自身がカウンセリングを受ける:当事者の回復を待つだけでなく、傷ついたパートナー自身が専門家による心理的ケアや家族会などを利用し、心の安全基地を確保することが最優先です。