本殿脇から湧き出る「真名井の水(まないのみず)」は、御蔭山の地下深層から何百年もの歳月をかけて湧き出す神聖な名水です。古くから「延命長寿」「病気平癒」「心身の浄化」のご利益があると信じられ、遠方から水汲みに訪れる人が後を絶ちません。一口含むとまろやかで清らかな味が広がり、境内を歩いた身体を芯から癒やしてくれます。
また、出雲大神宮は鎌倉時代末期に兼好法師が著した古典の傑作『徒然草』第236段の舞台としても広く知られています。その内容は、丹波の出雲神社(現在の出雲大神宮)に参拝したある僧侶が、後ろ向きに立てられた狛犬を見て「これぞ深遠な神意の表れだ」と感激して涙を流したものの、神官に尋ねると「子どもたちのいたずらです」と直されて恥をかいたというユーモラスな逸話です。
この記述は単なる笑い話にとどまらず、約700年前の京都の人々にとって「出雲」といえば島根の大社ではなく、亀岡の出雲大神宮を指すほど身近で格式高い信仰地であったことを証明する貴重な歴史史料となっています。