30年にわたる歴史の中で、番組の象徴である大黒柱・岡倉大吉役の交代は視聴者に大きな衝撃を与えました。この交代劇には当時の制作現場における深いドラマが存在します。
初代・岡倉大吉を演じた藤岡琢也は、第1シリーズ(1990年)から第7シリーズ(2005年)まで15年間にわたり父親像を好演しました。頑固でありながら包容力に富み、娘たちが泣きついてくると不器用ながら料理を振る舞って受け止める姿は、昭和の父親の理想形として親しまれました。しかし、2006年の第8シリーズ開始直前、肺炎による体調不良のため無念の降板となり、同年10月に惜しまれつつ逝去しました。
急遽代役を引き継いだのが宇津井健です。宇津井は第8シリーズ(2006年)から第10シリーズ(ファイナル・2011年)、その後のスペシャルドラマまで2代目・大吉を演じ切りました。藤岡が演じた「頑固で職人気質な下町の父」に対し、宇津井が演じた大吉は「温厚でダンディ、娘たちの言葉に静かに耳を傾ける紳士的な父」という独自のカラーを確立。当初は違和感を口にしていた古参ファンも、宇津井の真摯な演技と作品への敬意に次第に引き込まれていきました。