百合子さまを語る上で欠かせないのが、オリエント史学者としても知られた三笠宮崇仁親王との75年におよぶ固い絆だ。昭和16年10月、日米開戦直前の重苦しい空気の中で執り行われたご成婚。新婚生活は束の間、夫の出征や戦禍の拡大により、不安と隣り合わせの日々を余儀なくされた。
戦後、歴史研究者として新たな道を歩み始めた親王の執筆活動を、百合子さまは献身的に支えられた。国内外の学会や発掘調査への同行、海外の要人を招いた私邸でのもてなしなど、国際親善の架け橋としても類まれな手腕を発揮された。飾らない率直な議論を重んじた親王の傍らで、常に静かな微笑みをたたえながら調和を生み出す姿が、多くの研究者や外交官の記憶に焼き付いている。