彼が記した自叙伝『ワン・ジャンプ・アット・ア・タイム』を紐解くと、完璧に見えた王者の内面に渦巻いていた葛藤が生々しく伝わってくる。平昌での悪夢のようなショートプログラム、そこから北京で栄冠を掴むまでのメンタルの再構築。股関節の激痛や周囲からの重圧にどう向き合ってきたのか。
書中で彼が一貫して語るのは、失敗をデータとして処理し、感情に呑まれずに一歩ずつ進む思考法だ。ジャンプを跳ぶことも、人生の難題を解くことも、根本的な構造は同じ。この極めてプラグマティックな人生観が、リンクを去る決断の根底にも流れている。