リハーサル室のドアを開ければ、そこは一触即発のリングだった。結成当初のKAT-TUNを取り巻く空気は、およそアイドルのそれとはかけ離れていた。全員が「自分が一番目立ち、自分が一番強い」と信じて疑わない血気盛んな10代。目線が合えば火花が散り、意見が食い違えば怒号が飛ぶ。殴り合いの手前まで発展する衝突など、日常茶飯事だったという。
楽屋でのエピソードも凄まじい。衣装の取り合いで胸ぐらを掴み合うのは序の口で、食事のメニューや立ち位置ひとつで怒声が響いた。先輩グループのバックダンサーを務めていた際も、従順さとは程遠い反骨精神を剥き出しにし、スタッフを何度も青ざめさせた。「あいつらの楽屋には怖くて近づけない」――当時の関係者や後輩たちが口を揃えてそう漏らしたのも無理はない。
だが、その危険な緊張感こそが、彼らだけの爆発的なエネルギー源だった。馴れ合いを徹底的に拒絶し、個々のエゴをぶつけ合うことでしか生まれない熱量。恐怖すら感じさせる危うい立ち振る舞いは、やがて唯一無二のカリスマ性へと昇華していった。