長年にわたり伝統と革新を両輪で走らせてきた松竹株式会社が、今回選んだのは極めて冒険的なアプローチだった。従来の日本のテレビドラマの枠組みをあえて外し、劇場特有のダイナミズムをカメラの前に持ち込む。この試みこそが物語の骨格を成している。
客席の暗闇で感じる役者の息遣いと、編集によって研ぎ澄まされる映像表現。舞台演劇の熱量をそのまま居間のディスプレイへ送り届けるために、セットの美術から照明の設計に至るまで徹底的なこだわりが注ぎ込まれた。観客はただの傍観者ではなく、劇場の最前列に座らされたような臨場感を味わうことになる。