森川智之の真骨頂として多くのファンや同業者が挙げるのが、「悪役・ダークヒーロー」の芝居です。単に粗暴な悪人ではなく、確固たる哲学、常人には理解し難い狂気、そして人を惹きつけてやまない妖艶なカリスマ性を帯びたヴィランを演じさせたら、彼の右に出る者はいません。
その代表格が『FINAL FANTASY VII』シリーズのセフィロスです。『FINAL FANTASY VII REMAKE』から『REBIRTH』、そして完結編へと続く展開の中でも、森川が発する低く冷徹な声音は、クラウドのみならずプレイヤー全員の深層心理に恐怖と執着を植え付けます。声を荒らげることなく、淡々と放たれる台詞の端々に滲む絶対的優越感は、森川の精密なブレスコントロールの賜物です。
また、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』の吉良吉影では、日常に溶け込む平凡なサラリーマンの顔と、手の美しい女性を殺戮せずにはいられないシリアルキラーの顔という二面性を怪演。『ベルセルク』のグリフィスで見せた、神々しいまでの美貌の裏にある果てしない野望と絶望の叫びも含め、森川が演じる悪役には「堕ちていく美学」が存在します。この陰影の濃いドラマツルギーこそが、視聴者を惹きつけて離さない引力となっています。