「ストレスチェックは形骸化しており、受ける意味を見出せない」――大手IT企業に勤務する30代のシステムエンジニアは、吐き捨てるように語ります。「深夜残業が続き、明らかな過労状態だった時期に正直に答えたところ『高ストレス者』と判定されました。しかし画面に『専門医への相談をおすすめします』と表示されただけで、業務量が調整されることもなく、翌日からも同じ激務が続いた。結局、システム上でチェックをつけさせるだけで、会社は誰も助けてくれませんでした」
厚生労働省の報告や民間ヘルスケア企業の調査データによると、全国の事業場におけるストレスチェックの受検率自体は80%超と高い数値を維持しています。企業側が労働安全衛生法上の報告義務を果たすため、未受検者に対して執拗な督促メールを送るケースが多いためです。しかし、その先のステップである「医師(産業医)による面接指導」の申出率に目を向けると、数値は一転してわずか0.5%〜1.5%程度にまで急落します。
高ストレスと判定された従業員の9割以上が、その後の支援ルートに乗ることなく現場に放置されているのが実態です。制度の運用実務が「従業員に回答させ、労働基準監督署に受検率を報告して終わり」という形式的な法定義務の消化にとどまっており、結果として「受けても何も改善されない」という評判が現場に定着してしまっています。