ネット上の簡易レシピで頻繁に見かける「白菜を刻んで塩もみするだけ」という手順ですが、実は調理科学の観点からは明確な盲点が存在します。
白菜の繊維は縦方向に走っているため、繊維に沿って千切りにして塩もみすると、細胞壁があまり壊れず、水分が抜け切るまでに長時間を要します。その結果、調味料を加えた後にじわじわと水分が出続け、時間が経つほど味が薄まってしまうのです。
即席で味を染み込ませたい場合は、「繊維に対して直角に刃を入れる」または「包丁の背や手で軽く叩いて組織を崩す」のが正解です。また、塩もみで水分を絞りすぎると、白菜本来のシャキッとしたみずみずしさと甘みまで損なわれてしまいます。サラダや浅漬けでフレッシュ感を楽しみたい場合は、塩分濃度を野菜重量の1.0〜1.5%程度に抑え、揉み込みすぎずに短時間で引き上げるのが、プロが実践する味付けの境界線です。