ハイム・サバンの真骨頂は、コンテンツ制作そのもの以上に「エグジット(投資回収)」の芸術的なタイミングにある。2001年、サバンはFox Family Worldwide(現フリーフォーム)ごとサバン・エンターテイメントの全資産をウォルト・ディズニー・カンパニーへ売却した。その売却額は約53億ドル。サバン個人だけでも10億ドルを超える現金を手にし、ハリウッド史上最高峰のディールメーカーとしてその名を歴史に刻んだ。
しかし、ドラマはそこで終わらない。ディズニー傘下で停滞期に入っていた『パワーレンジャー』の権利を、サバン・キャピタル・グループを通じて2010年に約1億ドルで買い戻す。ブランドを再活性化させた後、2018年には玩具大手ハズブロへ5億2200万ドル(現金および株式)で売却。同じIPを二度育て、二度巨額で売り抜けるという、前代未聞の資産錬金術を完遂したのである。