メラトニンの原料となる必須アミノ酸「トリプトファン」は体内合成ができないため、食事からの摂取が欠かせません。朝食時に納豆、豆腐などの大豆製品、卵、乳製品、バナナ、ナッツ類を意識的に摂取すると、日中のセロトニン生成を経て夜間のスムーズな入眠へと繋がります。また、夕食のタイミングは就寝の3時間前までに終えるのが鉄則です。胃腸に未消化の固形物が残ったまま眠りにつくと、消化活動のために内臓血流が活発化し、深部体温が十分に下がりません。
就寝前の飲み物としては、自律神経を鎮静させるハーブティー(カモミール、パッションフラワー)や、マグネシウムを含む白湯が適しています。一方で、良質な睡眠を阻害する代表的なNG習慣の真相についても正しく知っておく必要があります。
最も典型的な誤解が「寝酒(ナイトキャップ)」です。アルコールは脳内のGABA受容体に作用して一時的な鎮静作用と入眠効果をもたらしますが、代謝物質であるアセトアルデヒドが数時間後に交感神経を強烈に刺激します。結果として心拍数が上昇し、深夜の中途覚醒や利尿作用による覚醒を引き起こし、睡眠後半のレム睡眠を大幅に抑制してしまいます。「お酒を飲むと早く寝付ける」という感覚は、脳が麻痺しているだけであり、睡眠の質という観点からは明確なマイナス行為です。
また、カフェインの代謝半減期は成人で平均4〜6時間、代謝速度が遅い体質の場合は8時間近く体内に残留します。午後の15時以降に摂取したコーヒーやエナジードリンクは、本人が「眠れている」と自覚していても、脳波レベルでは徐波睡眠の出現を削り取っています。午後の水分補給は、ルイボスティーや麦茶などのノンカフェイン飲料へ切り替えることが賢明です。