まず押さえるべき厳然たる事実は、黒目が小さい原因と真相を解剖学的に紐解いたとき、「大人の黒目(角膜)の直径そのものが大きくなることは絶対にない」という点です。日本眼科学会などの標準的な医学データにおいても、成人の角膜水平径は平均11.0〜12.0mmとされ、生後2〜3歳頃までにほぼ成人のサイズに達した後は、骨格のように成長したりマッサージで肥大したりすることはありません。
では、なぜ人によって黒目の大きさが違って見えるのでしょうか。美容形成外科の専門医は次のように解説します。「多くの方が『黒目のサイズが小さい』と感じている正体は、黒目そのものの小ささではなく、まぶたの皮膚や筋肉の重なりによる黒目の露出度不足です。通常、成人の美しい開瞼状態では黒目の80〜90%が見えていますが、まぶたが下垂していると60〜70%しか露出せず、物理的に三日月型に隠れて小さく見えてしまうのです」。
さらに、眼球が収まっている眼窩(がんか)の骨格や、まぶたの開き具合、蒙古襞(もうこひだ)の張り出し具合、そして白目との面積比率によって、視覚的な印象が決定づけられます。つまり、黒目を大きく見せるアプローチの本質は「球体を大きくする」ことではなく、「隠れている本来の角膜をいかに外へ露出させ、周囲のコントラストを最適化するか」に尽きます。