フットボールの歴史は、格下が格上を屠るドラマの連続だった。イングランドの伝統あるピッチからアジアのスタジアムに至るまで、アップセット(番狂わせ)は突如として日常を侵食する。プロサッカーリーグ(Jリーグ・プレミアリーグ)の長丁場であっても、あるいは一発勝負のトーナメントであっても、強者が油断した瞬間に牙を剥く獲物の獰猛さは変わらない。
莫大な放映権料と資金力を背景にしたメガクラブの支配力は年々強まっている。だが、11対11で争う90分間のピッチには、資金力の差を無効化する空白地帯が常に存在する。強豪がボールを握り、ボール支配率70%を記録していても、たったひとつのパスミス、たった一度のカウンターアタックが勝敗を決定づける。支配と勝利の乖離こそが、この競技の底知れぬ魅力だ。