「本物のムンクの叫びをこの目で鑑賞したい」と考えた場合、向かうべき目的地はノルウェーの首都オスロです。現在、一般公開されている3枚の作品はすべてオスロ市内の2大美術館に集中しています。
もっとも象徴的な1893年版のテンペラ画を所蔵しているのが、2026年に新館として生まれ変わったノルウェー国立美術館(Nasjonalmuseet)です。北欧最大の美術館である同館の「ムンク・ルーム」の中央に堂々と展示されており、ガラスケース越しではあるものの、圧倒的な筆致を間近で体感できます。
一方、パステル版(1893年)とテンペラ・油彩版(1910年)、さらに白黒のリトグラフ版を所蔵するのが、ウォーターフロントにそびえるムンク美術館(Munchmuseet)です。
ここで旅行者が注意すべきは、ムンク美術館の特殊な展示ローテーション制度です。紙や段ボールを支持体とするムンクの作品は光に極めて弱いため、同館では「1910年油彩版」「1893年パステル版」「リトグラフ版」の3作品を専用展示室に並べ、1時間ごとに1枚ずつ順番にシャッターを開けて公開するシステムを採用しています。つまり、お目当ての特定バージョンを見るためには、館内でタイミングを待つ必要があります。