インターネット上の検索動向を調査すると、「あげたて饂飩つきろう 南森町」や「西天満 ランチ うどん」といったキーワードで店舗情報を探すユーザーが目立ちます。しかし、ここで一つの疑問が生じます。つきろうの店舗は本当に南森町や西天満にあるのでしょうか。
結論から申し上げると、あげたて饂飩つきろうの実店舗は大阪市住之江区・西成区境の「北加賀屋」に位置しています。南森町や西天満には同店の店舗は存在しません。それにもかかわらず、なぜこのような地域名と結びつけて検索される現象が起きているのでしょうか。メディアの食文化リサーチから、以下の2つの構造的要因が浮かび上がってきました。
第一に、南森町・西天満エリアは関西屈指の法曹街・オフィス街であり、名店がひしめき合う「大阪うどんの最激戦区」であるという点です。舌の肥えたビジネスパーソンが昼休みに「本当に旨いうどん店」を探す際、うどん百名店 大阪のまとめ記事やランキングサイトにおいて、南森町界隈の名店(重己など)と北加賀屋のつきろうが常に上位で併記されてきました。その結果、ユーザーの頭の中で情報が混ざり合い、「南森町にも店舗があるのではないか」という誤認検索が生じたと考えられます。
第二に、かつて西天満周辺に存在した人気うどん店からの派生情報や、移転・系列店を巡るネット上の口コミの伝言ゲームです。北加賀屋という、梅田や淀屋橋などの都心部から地下鉄四つ橋線で一本という絶妙な立地にあるため、「キタエリアで働くうどん好きがわざわざ遠征する名店」として語られる過程で、オフィス街の地名とタグ付けされて拡散した側面があります。訪問を検討されている方は、目的地を南森町ではなく「北加賀屋駅」に設定するようご注意ください。