ネット上の野球コミュニティやSNSでは、「三振を多く取れる投手ほど優秀であり、防御率も良い」という論調が散見されます。しかし、球界関係者やアナリストの間では、この短絡的な見方に対して警鐘が鳴らされています。
誤解1:奪三振数が多い投手は、必ずしも防御率が良いとは限らない
三振を狙いにいく投球は、必然的にボール球を振らせる配球が増えるため、球数(ピッチカウント)が増加し四球を出すリスクと隣り合わせです。1打席に5球〜6球を費やして三振を奪う投手よりも、初球や2球目で打たせて取って内野ゴロに仕留める投手のほうが、長いイニングを投げられるケース多々あります。
奪三振王のタイトルを獲得しながらも、球数がかさんで早い回で降板してしまったり、無駄な四球から崩れて防御率が悪化したりする事例は過去にも少なくありません。「三振を取る力」と「失点を防ぐ力」は相関関係にはあるものの、イコールではないのです。
誤解2:空振り三振と見逃し三振の価値は同じか?
記録上はどちらも同じ「1奪三振」ですが、アナリティクスの現場では明確に区別されています。打者が手を出せないコースの境界線に投げ込む「見逃し三振」は審判のストライクゾーン判定に依存する部分がありますが、バットを振らせて空を切らせる「空振り三振」は、純粋にボールの球威や変化量が打者のスイング能力を上回った客観的証拠となります。そのため、スカウティングや能力評価では「空振り奪取率(Whiff%)」がより重視される傾向にあります。