再開発のニュースが駆け巡るたび、ネット上で必ず囁かれるのが「新橋特有の安い・うまい居酒屋文化が淘汰されてしまうのではないか」という懸念です。この疑問を確かめるべく、新橋駅烏森口から広がる飲食街の現場を歩きました。
結論から言えば、烏森口グルメの真髄である大衆酒場文化は絶滅するどころか、たくましく適応を続けています。焼きとんの名店や老舗の海鮮居酒屋、立ち飲み処には、今宵もスーツ姿の会社員だけでなく、若い世代や外国人観光客が肩を並べています。大手口コミサイトやSNSの投稿ログを分析しても、「昭和の風情が残る名店」へのポジティブな言及は前年比でも衰えていません。
烏森神社の参道近くで創業40年を超える焼き鳥店の店主は、カウンター越しにこう語ってくれました。「ビルの建て替えや立ち退きで移転を余儀なくされた仲間もいる。だが、新橋でお客さんが求めているのは気取ったフレンチではなく、熱々の串と生ビール、そして人と人との温もりだよ。街の器が変わっても、この熱気だけは簡単には消せないね」。
一方で、昼時の港区新橋のランチおすすめ事情には確実な変化が見られます。かつての主役だった「700円前後のがっつり定食」は原材料高騰の煽りを受けて1,000円台が主流となりましたが、その分、炭火焼き魚の専門店や銘柄豚の豚カツ、スパイスカレーなど、クオリティを極限まで高めた専門店が激戦を繰り広げています。単に空腹を満たす場から、限られた休憩時間を豊かにする体験型ランチへと進化しているのです。