サッカーボールと聞いて誰もが脳裏に浮かべる白の六角形と黒の五角形。あの切頂二十面体のアイコンを世界標準に押し上げた人物こそ、アディダスの創業者アドルフ・ダスラーである。1970年メキシコ大会に向けて誕生した「テルスター」は、白黒テレビの画面越しでもボールの回転や軌跡をはっきり視認できるよう設計されたイノベーションだった。
機能美と幾何学の完璧な融合は、半世紀が過ぎた現在もグラフィックデザインの基礎として確固たる地位を保っている。黒と白の比率や歪みをわずかに調整するだけで画面全体にダイナミズムが生まれる構造は、今なお多くのデザイナーを魅了してやまない。