ビッグモーター社内で「ロイヤルファミリー」「御曹司」と崇められ、アンタッチャブルな存在として君臨していた兼重宏一氏。その華々しい学歴とキャリアの背景には、創業家ならではの歪な権力構造が存在していました。
宏一氏は幼少期から英才教育を受け、早稲田大学を卒業後に海外のビジネススクールへ留学、MBA(経営学修士)を取得したとされています。帰国後の2010年代半ばにビッグモーターへ入社すると、父・宏行氏の後継者として急速に社内での地位を確立していきました。
MBA仕込みの計数管理や組織論を掲げた宏一氏でしたが、実際の経営手法は極めて冷酷な成果至上主義でした。30代前半の若さで副社長に就任すると、人事権と経営判断の全権を掌握。自らに従順な側近を重用する一方、意に沿わない幹部や実績の上がらない店長を容赦なく排除する体制を築き上げました。
創業者の後ろ盾と絶対的な人事権を武器にした統治は、社内で「ロイヤルファミリーに逆らえば即座に破滅」という極端な恐怖心を生み出し、組織全体のコンプライアンス意識を完全に麻痺させる引き金となったのです。