白山からの清冽な伏流水と、日本海からの潮風が交差する石川県白山市美川。この地は古くから北前船の発着港として栄え、多様な物資と文化が交錯する物流の要衝だった。江戸時代創業という気の遠くなるような歳月を積み重ねてきた老舗が、かつての屋号「荒与」を受け継ぐ株式会社あら与である。
創業当時から一貫して地域の資源を活かした水産加工業を営んできた同社だが、その名を一躍有名にしたのが、危険と隣り合わせの食材を究極の味覚へと変貌させる技術だった。塩と米糠、そして蔵に棲みつく微生物たちの働き。過酷な環境が生み出した生き抜くための生活の知恵が、やがて代えがたい伝統珍味として花開いたのだ。