香川が誇る讃岐うどんと、秋田の手綯(てない)うどん・稲庭。この2大巨頭のコントラストは、いま見ても実に鮮やかだ。
讃岐の命は、力強いコシと喉越しにある。セルフスタイルの名店がひしめく讃岐路では、早朝から出汁の香りが漂う。近年では、過度な安売り合戦から脱却し、小麦本来の旨味を極限まで引き出す高付加価値化への舵切りが目立つ。一杯の価格を見直しつつも、地場産小麦の配合や水加減の微調整に情熱を注ぐ職人たちの姿がそこにはある。
一方、かつて藩主への献上品として珍重された稲庭うどんは、平打ちの細麺と艶やかな透明感が特徴だ。職人が手綯い工程で麺に空気を抱かせ、じっくりと熟成させる。その製法は芸術の域に近い。繊細でエレガントな食感は、海外の高級レストランからも熱い視線を浴びており、伝統的な和風出汁にとどまらない洋風スープとのペアリングなど、新たな可能性を果敢に模索している。