ポマード(Pomade)とヘアグリース(Hair Grease)の境界線は、歴史と化学組成の両面から整理すると明快です。伝統的な「油性ポマード」は鉱物油やワセリン、ミツロウを主原料とし、圧倒的なツヤと水に負けないキープ力を誇る一方、一般的なシャンプーでは一度で落としにくいという難点がありました。対して、現代市場で広く流通している「水溶性ポマード」や「ヘアグリース」は、水を主成分に親水性の基剤をブレンドしており、お湯だけで驚くほど滑らかに洗い流せます。
質感における違いも見逃せません。一般的にヘアグリースは、ゼリーのようにぷるんとしたテクスチャーで伸びが良く、髪に濡れたような深いウェット感としなやかな束感を与えます。毛束がパリッと固まらないため、一日中何度でも手ぐしでリスタイルできる柔軟性が持ち味です。一方、水溶性ポマードはタイトなホールド力と粘着性を重視して設計されており、時間の経過とともに適度にホールドし、コームで作った緻密なバーバースタイルを強固に固定します。