東京の和菓子界において「三大どら焼き」の称号を冠されるのは、わずか三軒に過ぎない。しっとりと緻密な皮と上品な小豆餡で知られる「うさぎや (上野)」、黒糖と蜂蜜の香ばしさが際立つ名作・黒松を誇る「草月 (東十条)」、そしてここ浅草で独自の進化を遂げた「御菓子司 亀十」である。「食べログ 和菓子・甘味処 百名店」の常連でもあるこれら名店の中でも、亀十の放つ個性は極めて異彩を放っている。
厚みがある。手にした瞬間、指先が沈み込むほどに柔らかい。一般的な均一のキツネ色とは対照的に、あえて強火の焼きムラを残した皮は、まるで熟練の職人が一枚ずつ空気を抱き込ませて焼き上げたシフォンケーキのようだ。十勝産小豆の粒感を残した「黒あん」と、手亡豆(てぼうまめ)の上品なコクが広がる「白あん」。どちらも甘さが舌に重く残らず、生地の香ばしさと溶け合って消えていく。