日本人の体格や発声の常識を覆す圧倒的なベルカント唱法で、昭和歌謡の頂点に君臨した尾崎紀世彦。洋楽のスピリットを完璧に昇華させたそのボーカルは、お茶の間のテレビ画面を通じて列島を揺さぶり続けた。だが、カメラがオフになった瞬間の彼は、喧騒の東京を離れ、太平洋の海を見つめる一人の自由人でもあった。
彼にとって最大の避難所であり、心のオアシスだった場所がハワイだ。マリンスポーツやサーフィンを愛した尾崎は、オフのたびに島を訪れ、現地に拠点を構えるほど傾倒していた。芸能界という巨大なプレッシャーから解き放たれ、素顔の自分を取り戻せる場所。そこで出会ったのが、後に最初の妻となる女性だった。