車の一括払いは嫌がられる?ディーラーの本音と損しない値引き術

車の一括払いは嫌がられる?ディーラーの本音と損しない値引き術

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自動車ディーラーのショールームで「支払いは一括で」と伝えた際、営業マンのトーンがわずかに落ちる瞬間があります。都内の正規ディーラーに10年以上勤務する営業主任は、現場の空気感を次のように吐露します。

「お客様からすれば『借金もせず全額キャッシュで払う優良顧客』という自負がおありなのは重々承知しています。しかし、車の一括払いはディーラーの本音を明かせば、営業成績の面でも店舗の収益面でも、正直なところ旨味が極めて薄い取引なのです」

なぜ現場では新車の現金一括が嫌がられるのか。背景には、長年続いてきた業界特有の販売構造が存在します。

第1に「金融マージンの喪失」です。車両本体の販売マージンがかつてないほど削られている現在、信販会社から支払われる手数料はディーラーにとって死活問題となっています。現金で全額決済されると、この付加利益が一切発生しません。

第2に「販売ノルマの未達」です。多くの正規販売店では、営業マン個人の評価基準に「割賦(ローン)利用率」が明確なKPIとして設定されています。月間成約台数を達成していても、ローン利用比率が基準値を下回るとインセンティブが削られる評価制度を採用している法人が大半です。そのため、現金一括客ばかりが重なると、営業マン個人は社内査定で苦境に立たされます。

第3に「将来の接点消失リスク」です。現金で支払った顧客は、次回乗り換えのタイミングを完全に自分でコントロールします。一方でローン顧客、とりわけ残価設定型を選んだ顧客は、契約満了の数カ月前に必ずディーラーを再訪します。販売店にとって現金客は「次の商談機会が予測できない一見客になりやすい存在」と映ってしまうのが実情です。

さらにこの傾向は新車に限りません。中古車の一括払いが嫌がられる理由は新車以上に深刻です。ポータルサイトで車両本体価格を全国最安値水準に設定して客を引きつけ、提携オートローンの高金利マージン(実質年率7.9〜9.8%など)や付帯コーティングで最終利益を回収するビジネスモデルが定着している専売店では、一括払いを持ち出された瞬間に商談の利益が吹き飛ぶため、露骨に嫌悪感を示される事例さえ報告されています。

橋本 菜々子
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橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。