2026年に入り、マイナンバーカードと全国の自治体システムが完全同期されたことで、苗字の文字データ管理は一気に進化を遂げた。かつて役所の窓口で頻発していた「旧漢字がフォントに存在しない」「システムエラーで住民票が発行できない」といったトラブルは激減したかに見えた。
だが、現場の悲鳴は完全には消えていない。都内のある区役所戸籍課の職員は打ち明ける。「『四月一日』のような難読姓や、異体字を多く含む伝統的な苗字を持つ市民から『システム上の簡略化された漢字表記に納得がいかない』という相談が今春も相次いでいます」。デジタル化の波と、先祖代々受け継いできた個人のアイデンティティとしての苗字。利便性の追求が置き去りにしがちな壁が、行政の現場で露呈している。