インターネット上の掲示板やSNSでは、同社の割安な資産価値を巡って「外資系ファンドによる敵対的買収が行われるのではないか」「再び外資規制に抵触して放送免許が取り消されるのではないか」といった噂が定期的に浮上します。しかし、制度面と法規制のファクトを検証すると、ネット上の憶測と実態には大きな隔たりがあります。
第一に、買収の噂についてですが、結論から言えば、海外勢や一般企業がフジ・メディアHDを敵対的にTOB(株式公開買付)して経営権を完全に掌握することは極めて困難です。電波法および放送法には厳格な「外資規制」が存在し、外国法人が議決権の20%以上を取得した場合、放送持株会社としての認定が取り消されるリスクが生じるためです。ただし、議決権を行使しない形での純投資や、国内のアクティビストファンドが数%〜10%超の株式を取得し、不動産事業の分離・売却(スピンオフ)や大規模な自社株買いを迫る提案を行う可能性は十分に存在します。
第二に、過去に大きく報道された外資規制の真相です。同社は過去(2012年〜2014年頃)、議決権の計算過程において相互保有株式の控除漏れなどの人為的ミスが発生し、一時的に外国人の議決権比率が20%以上となっていた事案が発覚しました。当時、総務省への相談と過去の処理を巡り国会でも激しい追及が行われましたが、悪質な隠蔽工作ではなく計算の誤謬であったこと、発覚時点では適正比率に是正されていたことなどを理由に、認定取消しなどの行政処分は見送られました。現在は外国人株主の議決権名義書換を法に基づき厳格に制限・管理するシステムが徹底されており、同様の事態が再発する蓋然性は抑えられています。