日本の近代史において、最も深いトラウマを刻んだ存在がオウム真理教であることに疑いはない。教祖・麻原彰晃率いる集団は、国家転覆を企て、化学兵器を用いた無差別大量殺人へと暴走した。かつて宗教社会学の研究者たちが新たな宗教運動として分析していた現象は、日本社会の根底を揺るがす未曾有の災厄へと変貌を遂げた。
事件の渦中とその後を追った『A』(森達也監督ドキュメンタリーでは、外部からの激しい批判と内部の歪んだ日常が生々しく記録されている。信者たちがどのように外界との連絡を断ち、狂気を受け入れていったのか。単なる「不気味な集団」という言葉では片付けられない、組織的な洗脳構造の恐ろしさが映像に刻まれている。