ナビゲーションアプリに表示される時間を鵜呑みにして出勤し、遅刻ギリギリになって冷や汗をかいた経験を持つ人は少なくありません。その主因となっているのが、移動空間に張り巡らされた「信号網」と「地形の起伏」です。
都市部における実走行データを分析すると、幹線道路沿いでは平均して200〜300メートルごとに1箇所の交差点信号が存在します。4キロの道のりの中には、少なくとも12〜16箇所の信号交差点が待ち構えている計算です。赤信号で静止する回数が重なると、自転車4キロ信号待ち時間だけで合計3分から5分以上を費やすことになります。
さらに見落とされがちなのが、「減速と再加速に伴うエネルギーロス」です。時速18kmから完全に停車し、再びゼロからペダルを踏み込む動作は、走行ペースを乱すだけでなく、太ももや心肺機能に小さくない負荷を与えます。これが郊外の見通しの良い直線道路であれば13分で走り抜けられる距離であっても、都心のスクランブル交差点や歩行者の多い裏路地を経由することで、あっという間に20分をオーバーしてしまう構造的な理由です。
加えて、道路の勾配はタイムに直撃します。一見すると平坦に見える幹線道路でも、川を渡る橋の手前や台地の縁には傾斜2〜3%の緩やかな登り坂が潜んでいます。スポーツバイクに乗る熟練者であっても、登坂区間では巡航速度が時速10km近くまで落ち込み、ママチャリの場合は押し歩きを余儀なくされるケースも珍しくありません。ルート選定を行う際は、距離の短さだけでなく「信号の少なさ」と「高低差の有無」を立体的に見極める必要があります。