本作の大きな軸となるのが、現代社会における父親の立場をめぐる社会風刺だ。家庭や職場での立ち位置に悩む父親たちの情念を利用し、秘密結社「父ゆれ同盟(父よ、勇気で立ち上がれ同盟)」を組織した黒幕の企みは、大人世代の胸に痛烈に響く。
脚本を担当した中島かずきは、劇団☆新感線などで培われた圧倒的な熱量と重厚なドラマツルギーを本作に持ち込んだ。監督の高橋渉によるテンポの良さと緻密な絵コンテは、突飛な設定でありながら観客を物語へと強力に引きずり込む。単なる子供向けアニメーション映画の枠を大きく超え、父性という重苦しくも愛おしいテーマを見事に描き出している。