美術史の頂点に君臨する巨匠たちの肉筆に触れる体験は、パリ滞在における最大のハイライトと言っていい。ルーヴル美術館の深部に鎮座するレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』は、連日世界中から訪れる鑑賞者を魅了し続けている。厳層な警備と人波のなかでも、その神秘的な微笑みは独特の存在感を放つ。
一方、チュイルリー公園の西端にひっそりと佇むオランジュリー美術館では、静謐な空間でアートと対話する贅沢が待っている。ここではクロード・モネが晩年に手がけた巨大な『睡蓮』の連作が、楕円形の専用展示室いっぱいに広がっている。
自然光がやわらかく降り注ぐ部屋のベンチに座り、モネが描いた水面と光の移ろいに身を委ねる時間は、旅の疲れを穏やかに癒やしてくれるはずだ。歴史的なマスターピースをはしごする贅沢も、パス一枚をポケットに入れておけばスムーズに実現する。