この美術館を唯一無二の存在にしている最大のアイコンが、館内随所に置かれたデザイナーズチェアのコレクションだ。「椅子は座る彫刻である」というコンセプトのもと、展示室の片隅やロビー、吹き抜けの踊り場に、ヘリット・リートフェルトの「レッド&ブルー」やチャールズ・レニー・マッキントッシュの「ヒルハウス」、倉俣史朗の独創的なチェアが無造作に配置されている。
驚くべきは、その大半に実際に腰掛けることができる点だ。お気に入りの一脚を見つけ、体を深く預けてみる。背もたれの角度、座面の硬さ、アームレストの木肌。名作と呼ばれる理由が、理屈ではなく皮膚感覚で染み込んでくる。図録の写真を見るだけでは絶対に味わえない、デザインとのプライベートな対話がここにはある。