政策の舵取り役であるスポーツ庁は、国策としての運動推進を一段上のステージへと引き上げた。主導するのは、長年にわたり身体運動の探求を続けてきた室伏広治長官だ。アスリート時代の極限の身体操作理論を、一般市民の日常動作へと落とし込んだ独自のセルフチェック法やエクササイズは、全国の自治体や教育現場へと浸透し始めている。座りっぱなしの生活が招く弊害を断ち切るため、立ち上がり方や歩き方そのものを矯正する試みだ。
この潮流を制度面から支えているのが、現在推進されている第3期スポーツ基本計画である。同計画では、国民全体のスポーツ実施率引き上げを数値目標として掲げるだけでなく、「する」「みる」「ささえる」という多様な参画形態を重視。特別なウェアや道具を用意して競技場へ足を運ぶことだけが運動ではない。日常の歩行、階段の昇降、家事の合間のストレッチに至るまでを身体活動として正当に評価し直す思想が、官民挙げての取り組みとして結実している。