結論から言えば、「扱う科目の性質と音楽の種類によって結果が正反対に分かれる」というのが脳科学的な事実です。一律に「すべて逆効果」でも「すべて効果的」でもありません。
人間の脳内には、思考や推論を行う際に一時的に情報を保持・処理する「ワーキングメモリ(作業記憶)」という領域が存在します。言語情報を処理する際、耳から日本語や意味の分かる外国語の「歌詞」が入ってくると、脳の言語処理リソースが歌詞の解釈に無意識に奪われてしまいます。これが認知心理学で「無関連音効果(Irrelevant Sound Effect)」と呼ばれる現象です。
英国ウェールズ大学をはじめとする複数の実験データによると、静かな環境と歌詞付き音楽を流した環境で言語記憶テストを実施したところ、音楽を流したグループの成績が平均で約20〜30%低下したことが実証されています。特に英語の長文読解、国語の現代文、歴史などの暗記科目において、音楽を聴きながら勉強することは明確な逆効果をもたらします。
一方で、単純計算や既知の問題の反復演習、デザインやデータ入力といった「言語処理を主としない作業」では、音楽がもたらすドーパミン分泌によって作業速度やモチベーションが向上するという脳科学における勉強中の音楽のメリットも確認されています。